台風一過には遠い、空の下
ゆっくりと、いつもの道を歩く

嵐のあと
春とはまた違う、泥の匂いがする



夕方から、シリア難民についての本を
あたらしく、読み始める
途中でやめることができなくて、
結局、一気に中盤まで読んだ


危険を冒して、未来のため移動する人びとと、
ヨーロッパの、EUの理念の、綻び

国と個人の関係というのは、過剰な反応や思想に落ちやすく、
扱うのがとても難しいけれど
ひとりひとりの目線でしか語れないことが、多くある、ということを
こういう、誠実だと感じる本に出会うと、あらためて思う


さまざまな場所から来た人に
わたしも、長い留学生活のなかで、出会った
そういう人たち、とくに親しい誰かの言葉と、涙は
わたしに、やまない残響を残した

恥ずかしいことだけれど、
目で見て、肌で感じなければ
わからないことというのは、多くある
でも、本というのは、ときどき
それをすこし補う存在に、なり得る


国、そして国境を越えることについて
それに付随する、悲しみ、苦しさ
特に、平和から遠い場所でのそれを
完全に理解するなんて、わたしにはとても無理だろう

けれど、こういう本は
やはり、手元に置いておきたいと、思うのだ



シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問

シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問