台風一過には遠い、空の下
ゆっくりと、いつもの道を歩く
嵐のあと
春とはまた違う、泥の匂いがする
夕方から、シリア難民についての本を
あたらしく、読み始める
途中でやめることができなくて、
結局、一気に中盤まで読んだ
危険を冒して、未来のため移動する人びとと、
ヨーロッパの、EUの理念の、綻び
国と個人の関係というのは、過剰な反応や思想に落ちやすく、
扱うのがとても難しいけれど
ひとりひとりの目線でしか語れないことが、多くある、ということを
こういう、誠実だと感じる本に出会うと、あらためて思う
さまざまな場所から来た人に
わたしも、長い留学生活のなかで、出会った
そういう人たち、とくに親しい誰かの言葉と、涙は
わたしに、やまない残響を残した
恥ずかしいことだけれど、
目で見て、肌で感じなければ
わからないことというのは、多くある
でも、本というのは、ときどき
それをすこし補う存在に、なり得る
国、そして国境を越えることについて
それに付随する、悲しみ、苦しさ
特に、平和から遠い場所でのそれを
完全に理解するなんて、わたしにはとても無理だろう
けれど、こういう本は
やはり、手元に置いておきたいと、思うのだ
- 作者: パトリック・キングズレー,藤原朝子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/11/26
- メディア: 単行本
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