雨のなか
仕事の用事を、あれやこれやと済ませ
いつものネイルサロンへ

おもむろに、爪を石にしたいと言いだし資料を見せるわたしと
躊躇なく、できるよ、と答えてくれるネイリストさん


爪全面にやると印象が強いから、先のほうだけがいいよね、
色はどれを、どういう風に使おうか、
一部の爪を単色にしてみるのはどう、やめといたほうがいいかな、
ストーンはどういうタイプのものにしようか、

そうして、話し合って
デザインと配色を、決めていく
もちろん、わたしは気楽にアイディアを出すだけで
具現化してくれるのは、ネイリストさんなんだけれど

作業をしてもらいながら、全体のバランスを見て
一緒に配色を変えたり、色味を足したりもする
わたしの好みをよく知っている、彼女は
納得がゆくように、絶妙な色をつくってくれる

わたしは、そういうネイリストさんを尊敬しているから
こうして彼女の仕事を間近に見られて、うれしいし
楽しく話し合って、自分の爪を決められることを
本当に、貴重なことだと思っているのだった



近ごろネイリストさんは、仕事に対する思いや、
あるいは、心のようなものを
ときどき、口に出してくれるようになった
それを聞いていると、彼女は意思を表明することに重点を置かず
こつこつとやってきた人なのだな、と、思う


希望を言ったり、誰かや何かを評価することで
前に進んだ気持ちになるのは、容易い
そして、言葉にしたことを行動に移さない、というのは
すぐ癖になるうえ、そう簡単には直らない

そうして、自分に対してだけ甘い評価をしつづていると
真っ当なことを口にしても、整合性がなくなってしまう
彼女は、その恐ろしさをよくわかっていて
日々の自分の行動で、意志をもって、避けているという気がする


身につけたものを、最大限に使うこと
言い訳をせず、一日一日を積み上げること
わたしは、本当にまだまだで
だから、そういうことを、ちゃんと休みながら自然にやっている、
彼女みたいな人に触れると、襟を正す思い

ごちゃごちゃ書いたけども、つまり
ネイルの時間は、わたしにとって、とても大事だということ
彼女本人は、こう言われるのは苦手そうだから
ここに書いて、あとは、心のうちに仕舞っておくけれど


もらった元気で
明日は、やらなくちゃいけないことが沢山ある

美しい爪を、眺めると
本当になんでもできそうな、気がする