きょうも、合間合間に
洋書の短冊をつくる、仕事

この表紙の女性
見るたび、射抜かれる



夕方、ずいぶん暗くなったころ
以前Biotope Journalという企画をやっていらした、寿太郎さんが
彼女と一緒に、お店に来てくださった
勝手に、お話したことがあるような気になっていたけれど
お会いするのも、長くお話するのも、初めて

伝えたいことも、伺いたいことも、沢山ありすぎて
始終ちょっとした興奮状態で喋ってしまい
いま思い返すと、申し訳なかったな
でも、本当にうれしかったのですよ


2012年の晩夏
わたしは、スウェーデンでの一年が始まったところで
スウェーデン人しかいない歴史の授業が、とにかく辛かった
秋が深まると、なにをしているのだろうと、いよいよ落ち込んで
週末は部屋から一歩も出ずに過ごすこともあった

その時期に、わたしを支えてくれたのが
Biotope Journalのメールマガジンだった
毎週日曜に送られてくる、ものすごいボリュームの文章
そこには、世界のあちこちで確かに生きる人たちと
その背後に脈々と流れる、文化があった

日曜は、部屋の肘掛け椅子で
丸まって、iPadを膝に置いて、メルマガをゆっくり読む日
そう、決めていた

そのわたしの画面の向こうに、いつも居たのが
スガさんと寿太郎さんの、二人


どこかの土地で、自分の人生を愉しんでいる人たちにも
ときには過酷な旅をしながら、
彼らのことを書きつづけている寿太郎さんとスガさんにも
当時のわたしは、月並みな言葉だけれど、本当に励まされた

なにより、こうして、
“暮らし”のような、一人一人の、いわば個人の領域を
たとえ小さな点にすぎなくても、ていねいに描きだすことができれば、
“異文化”をふわりと感じることができるのだな、と
彼らのおかげで、希望を持てた気がする



いま、わたしは、お店を持っているけれど
頑として、本を置くことを譲らなかったのは
ものでは語りきれないことを、すこしでも補完したかったからだ
その思いは、お二人がBiotope Journalに込めていたものと
もしかしたら、似ているのかもしれない

Biotope Journalに、わたしが見た希望は
いまのわたしを、確実につくっている

そういう書棚を、寿太郎さんが丁寧に見てくださって
それだけで、うれしかったなあ
無理に買わせてしまうと申し訳ないと思って、お気遣いなくと言ったら
僕は本屋では本を買うんですよ、という言葉が返ってきて
本当に、本当にうれしかった


あの頃から、ずいぶん時間が経って
わたしが今こうしているように、お二人もその先を歩んでいる
それでも、彼らが書いたものは色褪せないし
わたしはずっと、熱心な読者でありつづけるのだろうと思う

Biotope Journalのメルマガを、書籍化してください、と
しつこくお願いしたので笑、いつか実現するといいな
ホームページの記事も好きだけれど、簡潔にまとめたものなので
メルマガ版を今公開していないのは、もう、めちゃくちゃ勿体ない

そのときにはここで平積みにしますから、と言って、笑った
そんな日が来ますように



それと、あんまり勝手に書くとアレだなあと思うのだけど
彼女があまりに可愛らしい方で、惚れ惚れしてしまった
話に付き合わせてしまって、本当に申し訳なかったけれど
あたたかい相槌と笑い声に、癒されました

うーん、とても長くなってしまった
スガさんに、ロンドンでお会いしたときもそうだったけれど
とにかく語ることが多すぎる、!

こんな風に、すてきな方たちと、話ができるということ
今、こうしていられるということを
幸せだと、思う