ゆったりとした夕方
妹が、レモンソーダを持って、お店に現れた

何年か前に、ロンドンの小さなイタリア食堂で
よく一緒に飲んでいたもの


わたしが4年生だったとき
妹も1年間、ロンドンにいた
わたしも彼女も、それぞれ学校で忙しかったけれど
結構近くに住んでいて、よく一緒に晩ごはんを食べていた

その頃、大学の近くのその店へ
ときどき妹を連れていった
4つあるテレビで、いつもサッカーをやっている、
ナポリ出身のおじさんの、雑な食堂

ミートボール、メランザーネ、ラザニア
どれも安くて、パルミジャーノをたっぷりかけてくれる
妹は、サッカーはどうでもいいという感じだったけれど
いつも、満足げに、ニコニコごはんを食べていた


そのお店は、妹がロンドンに来る前から通っていた場所だし
いまもつぶれたり移転したりせず、普通に存在しつづけている
だから、ひとりで行った回数のほうが、ずっと多いのに
いまだに、ひとりで行くと、ちょっとへんな感じがする

ほら、あの店でよく飲んでた、と缶をだして妹が言うので
覚えていたんだなと、うれしかった
いや、そりゃ、覚えているのだろうけれど
なかなか、覚えてる?って、訊かないじゃない

カウンターのところで
とりとめもない話をしながら、レモンソーダを飲んだ
ここは日本で、育った街で、わたしの小さなお店で
人生はなんだかふしぎなことだらけだなと、思った



さて、ふしぎなことばかりなので
きょうは、お店ですてきな方に会えたりもしたし
あしたは、また、同じ場所に立っているし
あさっては、妹と名古屋でライブです

こんな日がくるとは
あの頃は、思っていなかったけれど

2017年の夏を
思いきり、楽しむ所存