次は桜のなかで会おうね、という
二月の約束を、果たした


満開の桜がつづく、川原を
ゆっくりと、花を見上げて歩く

ちょうど満開やね、すごい、めちゃめちゃ綺麗、と
ふたりして、ひっきりなしに褒めつづける
よう咲いてくれたねえ、としみじみ言う友だちが
かわいくて、思わず微笑んだ
桜のお母さんみたいよ


友だちは、わたしの
中学のとき、ここがマラソンコースやってん、とか
ここにあったテニスクラブにずっと通ってて、
むかしはスケートリンクもあって、とか
そんな小さな話を、にこにこと聞いてくれた

大人になったらなったで、毎日色々なことがあるし
世界はあの頃とは、すっかり変わってしまった
それでも、中学生のわたしが想像もしなかったような
自分なりの未来に、わたしはいま、彼女と立っている




よく行くカフェで
カウンターに並んで、おしゃべり

わかる、という相槌をうちたくないと、常々思っているはずなのに
わかる、めっちゃわかる、と連発してしまう
わたし達は、根っこの部分、
なにより、これは曲げたくないというものが、とても似ているのだ

理不尽な目にあったとき
わたしのことを呼びたくなると、言ってくれて
なんだか、うれしかった

誰かに理解してもらえないことも、きっとあるけれど
わたしがいることを、忘れないで、と思う



彼女も、わたしも
いま、岐路に立っていて
でも、これまでさんざんやってきた末の選択だから
ふたりとも、今年を悔いることはきっとないだろう

明日からもがんばろう、と
そう思えたことが、ありがたい
やわらかく、あたたかな午後だった


それにしても
また近いうちにね、としか言わなかったけれど
ちゃんと、次の約束をすればよかったな