飽かずに降りつづく雨
カーテンを開けていても、部屋は、暗い

すこし気分を変えたくて
近所のカフェで、調べものをすることにした

ほとんど満開になったであろう、桜が気になって
ぐるりと、遠回り
花を見上げられるようにと選んだ、ビニール傘の表面を
つぎつぎ、水滴が流れていく


もともと、人通りが多くはない道だけれど
雨だからか、いつにも増して静か

アスファルトの上の浅い水たまりを
すいすい器用に渡っていく、アメンボを眺める
早く花をつけていた木から、花びらがたよりなく落ちて
小さな橋の欄干に、ぺたりとくっつく

水がそのまま閉じ込められたような空気を
大きく、吸い込んだ
雨も、なかなかわるくない



もろもろが落ち着いたら
今度は、あてのない散歩をしよう

帰ることなど、考えずに
迷いを忘れて、思うように進む
去年、森でそうしていたみたいに


まだ、しばらく
雨がちの空が、つづきそうではあるけれど

桜と一緒に、春を吸い込んで
目を、きちんと開きたい