住んでいるところから、すこし離れた町で
湖のほとりを歩く、土曜日


雲ひとつない青空が水面に映って
透明というのとも、深みがあるというのとも、また違う、
ただ、どこまでも続いていそうな
果てのない、青さで

目を離すのが、時間が流れるのが、惜しくて
白樺の木陰で、じっとしていた
人も、あまり通らなくて
何故かそこに立っていた木彫りのフクロウの像だけが、
まっすぐに、こちらを見ていた

こういう晴れ渡った日には、
現実と幻想を隔てる、薄い膜が弱って
空のふちから少しずつ、まぼろしが混ざってくるような
そういう心もとなさがある


昨日、ちょっと、かなしい出来事があって
溶かせない、冷たい塊のようなものが、
今日はずっと、胸の真ん中に居座っていた

だけど、消化できなくても、忘れられなくても
それなりに、どうでもよくは、なる
土曜日は偉大



随分、日も短くなって
初秋の光の儚さに、焦りも感じるけれど
スウェーデンの秋の美しさを、知っているから

色々なものを掬いに
やっぱり、こうして出かけていかないとな