ひとりでは初めて、
台北に来ている

喧騒に、ひとり置いていかれて過ごす
それだけのための旅


軽いものをとおすすめを聞いて頼んだお茶と
想像以上に美しくて驚いたゼリーとともに
スコールのような雨が過ぎるのを待つ

最初の一杯を教えてくれた店員さんの優雅な所作を、
なぞるようにして動いてみる

台湾茶の小さなカップは、
繊細で、指先に心地いい


お茶には、“冬片包種”という名前がついていて
緑茶ベースで、フレーバーが“梔子花、鹽奶油、蘆筍汁”
英語表記ではGardenia、Salted Butter、Asparagus juiceとあり
驚いたけれど、青くすっきりした香りと味で美味しかった

試してみないとわからないことが
そこらじゅうに転がっている
気に入ったものを飲みつづけたり食べつづけたりするわたしでも、
きょうはいいでしょう

 

中山駅の近くには、
新しい本屋兼カフェがいくつもできていた
一軒一軒、時間をかけて巡り、
台湾の言葉がわからないなりに、何冊かの絵本を買った

地下の、誠品R79という大型の本屋は、
300mにわたって縦長に店が続いていて圧巻だった
店内はどこへ行っても、
置いてあるベンチや椅子に座って本を選んでいる人がいて
その気楽さと豊かさが眩しかった

本屋には、余白がある
記号としての、情報としての本を超えていく、
記憶を厚くする余白


じっとりとまとわりつくような湿気と、
亜熱帯らしい街路樹
ああ、台湾だ、と瞬きをするたびに思う

軽やかな服装で足早に歩く人たちを、
わたしは、ただ眺めるだけだけれど

ちょっと間借りさせてもらうような気持ちで
ここでの時間をおおらかに使いたい