積み上がる仕事に、雨の音
窓のそとをふと見ると
いくつかの傘が、ふわふわと動いていた
テレビのない部屋では
台風が来ているという実感は、ないけれど
水を纏った空気に、すこしだけ先の空を、思う
集中して書類をつくっていたら
電話が鳴って、おどろく
03番号に首をひねりながら出てみると
取引を申し込んだ会社の、担当のかただった
あたたかな語り口の、おじいさん
半分は雑談、という感じで
仕事とは思えない、ほのぼのとした時間
ただの取引先のひとつなのに、
細やかに話を聞いてくれる
電話を切って、しばらくすると
約束していた通り、メールが届いた
ご開店の由、うれしいことですね、
特色をいかんなく発揮されること、ご期待申します、とあって
お喋りそのままの文章だなと、微笑んだ
ひとつずつ、仕事を片付けていったら
家から出ないまま、あっという間に夕方
うす暗い部屋で
もらった葡萄を、ぷちぷちつまむ
7月に入って、焦ることばかりだけれど
でも、うん
こんな日も、あっていい