毒を抜かれた太陽の光と
ひんやりした、風

雨が過ぎた日の、夕方は、
川のそばで過ごすのがいい


朝の雨で、川は増水しているというのに
スーツを着た男の人が、飛び石を渡っていく

どうして、近くの橋を渡らないのかな、
あの人も、こういう時間が好きなのかしら、と
そこまで考えて、ちょっと笑った
彼から見ると、この季節にここで本を読んでいるわたしも
それなりに変った人にちがいない



考えることに
気がつけばずいぶん、疲れていて、

わたしは本当に
休むのがへたくそだなと、呆れてしまう


だけど、数日前、ここに
自分で書いたことを、思う
“人のうえには、なにもかもが残るし、なんにも残らない”

そういう意味では、
日々は、わたしを裏切らないのだ
これは、ひとつの、辿り着いた答え



スウェーデンにいる友だちから
日曜、スウェーデン時間の朝9時に、
スカイプかけていい?と、メッセージ

いいよ、いつでも、と返事をしながら
数日先の予定を話していることへの、違和感が抜けない
彼女とは一年、学校の敷地内に住んで、一緒にいたわけだから、
まあ、当り前なんだけど

ロンドンでの生活とはまた違うたぐいの、人との関係を
わたしは、森の中の学校で築いていたのだな、と
メッセージ画面の後ろの太陽に、目を細めながら
しみじみと、思った