午前のうちから
小さな織物屋さんへ、でかける

去年、偶然みつけて
その布のうつくしさに、驚いた
意外な場所にある、小さな小さな店と工場なのに
今ではこの辺りでもあまり見かけないような
伝統柄の、とても質のよい布をつくっていた

出会いがどこにあるかは
本当に、わからないものだ


ちょっと話をするだけのつもりが
経営者のご夫婦と、すっかり盛り上がる
せっかくだからすこしでも織り機を見ていって、となり
工場に連れていってもらい、
そうしたらさらに盛り上がって、結局機械を動かし
ひとつひとつ、細かく説明までしてもらってしまう

うつくしいものが、うつくしい形を持っているのには
たいてい、ちゃんと、理由がある
このお店の布も、然り

もう、ただ普通に会話を楽しんでしまって、
うっかりプライスリストをもらいそこねるところだった
いやいや、仕事でした、ちょっと忘れてた


元来、人と話をすることが、
そこまで得意ではないわたしだけれど
興味のあるものを真ん中におくと、饒舌だ

言葉の勉強をしておいて、本当によかったと
こんなときには、過去の自分がかわいい



きょうは、その後は
行く予定だったところが、一箇所つぶれていたこともあり
とても、穏やか

大好きなカフェで、おやつを食べたり
曇った湖のほとりを散歩したりした
ひとりでこんな風に過ごす時間も、
今はとにかく、大切だ


去年、たくさんの時間を過ごした“となり町”での
日常にかぎりなく近い、一日だった