ぼんやりとした川を、渡る
こんな朝には、いつも
くるりの『ハイウェイ』を聴いている

体調があまりよくないうえ、睡眠不足
不安定を引きずりながら、空港へ


わたしは、飛行機で眠ることが苦手で
映画も、あまり得意でないので
座席の照明が落ちる時間帯は、
じっと、画面の地図だけを見て過ごすことが多い

すこしずつ進む、小さな飛行機
ロシアの知らない町の名前を見ていると
画面だけ、現実から浮いているような気がする

疲れた頭に、バニラ・アイスクリーム
しなるスプーンで削るようにして、食べた




今回は、安いチケットがあったので、フィンエアー
なにより、飛行距離に無駄がないのがいい

乗り継いだ飛行機が、ヴァンターを離れる
窓のそとは、白い雪と、黒い森の世界
クリスマスツリーの飾りのように、
ところどころに、車のヘッドライトが連なって見えた

本当は、ヘルシンキにも寄りたかったのだけど
それはまた、次回



飛行機、空港、そしてストックホルム
まわりにある言語が、移り変わるあいだに
自分の弦を、張りなおしたような気持ち

フィンランド語も、スウェーデン語も
もともとわたしのそとにあった言葉は
今でも、そとから、わたしを引っ張ってくれる


家を出てから、ストックホルムの宿まで、18時間
なんだかんだで、ぐったりしてはいる

いったん、頭をからっぽにして
明日のために、きょうは、眠るだけ