晩夏の花々
飽きもせず鳴きつづける蝉と
疲れを見せない太陽
近所の大学で、オープンキャンパスがあったのか
制服の高校生たちが、並んで歩いている
白いシャツが、爽やかにひらひらして
どことなく、鳥を思わせる
じっとりとした暑さに耐えきれず、喫茶店へ
めずらしい時間に行ったものだから、
マスターに、どうしたん?などと驚かれてしまった
あんまりにも暑いんだもの、アイス・ラテ下さい、と笑って
ほかのお客さん越しに、小さなテレビの競馬中継を眺める
わたしが5歳の頃からずっと、マスターはここに居て
なのに、ぜんぜん歳をとっていないような気がする
特別な言葉を交わすわけでもないけれど
やっぱり変わらないこの店にいると、
いい具合に、時間の感覚がぼやけるのだった
事務作業やおつかいで、バタバタとした午後にも
ちゃんと、うつくしい瞬間があって
ああ、こういうのだけを切り取って残しておきたいな、と
それが通り過ぎるたび、思う