オンラインショップの仕事の合間に
ネイリストさんのところへ

休暇で台湾に行くから、パイナップルっぽくしたくて、という
わたしの安直すぎる話を、ネイリストさんは真剣に聞いてくれる
帰ってきたら梅雨真っ只中で、もちろん仕事もあるのを踏まえて
どの程度パイナップルにするかを相談することに


結局、日和るとパイナップル感が失われてよろしくない、
全指いさぎよく、黄色に茶色がかったオレンジをすこし混ぜて、
当初予定にあった緑やグレーは入れずにおこう、と落ち着いた
じっくり見ると深みもある色で、大満足
トロピカルって単語、数年ぶりに使ったわ、と
ふたりで一緒になって笑った

ここは日和ると何がしたかったんかわからんようなると思うねん、と
ネイリストさんはハッキリと伝えてくれる
わたしも、試しに色などを足してみて違和感があったら、
これもしかしてないほうがよくないかな、どう思う?と
遠慮せずに切り出すことにしている

雑談がいつも楽しいのはもちろんだけれど、
こういうざっくばらんな関係が、唯一無二だから
わたしは彼女のところにずっと通っている
彼女が仕事をしているかぎり、通いつづけると思うよ

 

さて、突然だけれど、この半年の仕事の話
実は今年は、新しい取引先をほぼ見つけられていないこと、
既存の取引先の新商品も、発注を躊躇うものが多いということに
焦って、ずっと、どうしようもない気持ちだった

コロナがひと段落ついてからというもの
原材料もエネルギーも輸送も、
それぞれの国の物価そのものもどんどん高くなっていって
雑貨の業界はよりきびしさを増している
結果、確固たるブランド力のある高価格帯のものか、
トレンドに乗りつつコストを削ったものが目立ち
中間の価格帯の個性的なものは、随分見つけにくくなってしまった

付き合いの長い取引先にも
今年は、続けられずに廃業してしまうところが立て続けに出たし
ほかの会社も、やりくりに苦労しているのに大幅には価格が上げられず
作りたいものを作れない、セールスも予測ができない、という話を方々で聞く
そんなときだから、展示会も以前より画一化してしまっていて
2019年ごろまでの、とりどりの花畑のような明るさはない


わたしは、そのなかでもがいて、
すばらしいものを地道に作っている人たちを見つけなくてはいけないんだ、
絶対にいるはずだから、と、ずっと自分を追い込んでいた
その気持ちは今ももちろん変わっていないし、
そういう人たちはちゃんと存在しているけれど
だけど、とくに円安のいまの状況下ではうちの店だって
以前のように、質を維持したまま絶えず変化することはむずかしい
やっと、そういうあたりまえのことに思い至った

そもそも、今のこのスピード感や商品数自体が、
ひとりの小さな店にしてはあまりにも頑張りすぎている
そして、歪なこの形を維持させてくれるような十分な資源は、
いまは、知るかぎり、わたしが活動している場所にはない
悲しいけれど、でも、
現状を鑑みるとこれは仕方がないし、むしろ健全なことだ

それなら、わたしは、
変わっていく速度を落とすのがいい
ひとつひとつの商品のセレクト、その質だけはけして落とさず、
取り巻く景色がすこしずつ良くなって
取引先やこれから出会う人たちが、動きやすくなるのを待つのがいい
いつ上向くのかは、わからないけれど

もちろん、わたしはものを売らなければ店を続けられないし
お客さんはとにかく変化のスピードが早いから
今あるものにきっと飽きてしまう
そして、現行品を育てなければヴィンテージの仕入れにも障るけれど
それでも、わたしにとって妥協すべきは、
質ではなく速度のほうなのだと思う


この半年、加速していく円安の中で、
苦しみ抜いて考え抜いた
やっとそれが、すこし実ったという気がしている
書いてみると、当然のことしか言っていなくて笑ってしまうんだけど、
店を潰してしまう可能性も大いにあるわけだから、
こう気持ちを切り替える勇気が、わたしにはなかったんだよ

幸いなことに、この半年間、店の売上は伸びている
それだけ、うちにはお客さんがいてくれて、
そのうちの何割かの人たちは、わたしの目を信頼してくれているのだと
都合よく解釈して、これからも誠実にやっていきたい


店自体は、そんなに変わらないかもしれないけれど
気持ちの区切り

今週を終えたら、休暇
そして、新しく、2024年の後半がはじまる