失敗といえば失敗の写真
まわりの星がぱらぱらと写っていて、
これはこれで、味がある

皆既月食のニュースにつられ
母とふたり、ふらりと外に出た
わたしたちとはかけ離れたスケールで赤く欠ける月は、
遠く、不可思議で、どこまでも美しかった


あの星はずいぶん明るいのね、と指をさす母に、
木星だよ、と答える
ちなみにあっちの明るいのは土星、そっちはベガ、と指していくと
あんたは相変わらずねえ、と気のない返事
この構図は、子どもの頃から変わらない

星に興味を持ってくれるのは姪くらいだとぼやくわたしと
そうかもね、あの子は結構覚えてるわよ、と笑う母
まあ、星の話は聞いてくれなくても、
こういう時間が持てるだけでいいんだけれどね、と思ったけれど
ますます話を聞いてくれなくなりそうなので言わずにおいた

仕事の波間の、穏やかな時間
月食は偉大だ

 

日を追うごとに、仕事が積み上がっていって
息をつけないような日が続いている

それにしても、あまりにも近くのものが見えないので、
きょうはなんとか時間を空けて、朝から眼科へ行ってきた
初めて会った先生はわたしの検査結果を確認し、
遠くを見ることに集中しすぎです、これじゃ近くは見えないよ、と言った
人生訓みたいだな

結局、コンタクトの度数は逆に下げることに
信頼できる先生に出会えたかもしれない


“考えることなく見ることを
見ているときは見ることを
そして見ているときは考えず
考えているときは見ないことを”

帰り道、ペソアの言葉を浮かべて
明日こそは考えるだけの時間を作ろうと、思った