二泊三日の金沢

特別なことはしないでおこうと出かけて、
その通りの旅になった
美術館へ行き、川沿いや公園で散歩をし、
古本屋で欲しいだけの本を買った

編み物をして本を読み、好きな音楽を聴いた
日常と非日常の境をぼんやりと楽しむだけの夜は、
一時的にせよ、さまざまなことを忘れさせてくれた


前半は、現地集合した恋人が一緒だったので
能登半島のほうへ、車で
浜辺を走ったり、のどぐろや皮はぎを捌いてもらって食べたり、
どこにでも現れる藤の花に感心したり
ひとりとふたりはやっぱり違うものだなあと思う

ひさしぶりに、あんなに鳥の声を聴いたな
それが、なによりも印象に残った

穏やかさを分け合って
なんでもないことで涙が出るくらいに笑う、一日半
改札で見送ったあとは、あまりにも隣が静かで
しばらく所在ない気持ちだった


ふたりとひとり
わたしにも、腹を括って守ってきたものがある

京都に帰り着き、あらためて
自分に必要な時間を、思った

 

明日から、ちゃんとできるかなあ
そもそも、三日仕事を離れるのがあまりにも久々だったから
それだけで不安だ

だけど、自分自身がこんな風に出かけていくことで
遠くからうちに来てくれるお客さん達のことを考えたりもした
自分の生活とは離れた街に、信頼する店があるというのは、
なんて心づよいんだろう

誰か、たったひとりにとってでも、
わたしの店がそんな存在になれるように
明日から、また、頑張ります