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昨日の営業前
仕事場へとつづく階段を上がると、
大家さんと、産休明けのお隣さんが、揃って待っていた

噂をすればー!これどうぞ、と
お隣さんが、試作品のお菓子が入った袋を手渡してくれる
えっ、いいんですか、とびっくりして言うと
いいの、いちど練習で作っておきたかったから、と笑ってくれた

大家さんが、作業着姿なのに気がついて
どうしたんですか、完全に業者の人だ、とまた驚く
窓の外側の掃除、あとで行くんで、と事もなげに言うのでさらに驚いた
二階なのに、窓枠に立って普段手が届かないところまで拭いてくれるという
本当になんでもできる人だな


なんでもないことで、皆で笑う
全員ちょっと離れて、そしてマスク姿ではあるけれど、
賑やかな日常が戻ってきた

夕方の空き時間、大家さんが今度は
コーヒーいります?と、サーバーを持ってきてくれた
わたしも、お隣さんも、それぞれのカップを取りに行き
注いでもらったコーヒーを手に、ウキウキと戻る

9ヶ月ぶりに食べたお隣さんのスコーンは、
変わらず、世界でいちばん美味しかった

 

水曜に確定申告を終え、明日から通販で忙しくなるのを前に
今、あちこちの取引先と、オーダーの細かいところを詰めている
仕様が変わったり、はじめて買ってみるものがあったり、
実は、確認や話し合いが必要なことはけっこう多い

ベルリンにいる、取引先のような友だちのような人とは
ちょっとした会話が膨らんで、
新しいカラーバリエーションを作ることになった
本当はそうしたくても、今は訪ねていくわけにはいかないけれど、
サンプルを送ってもらい、ビデオ通話でどうするか決めていくことに
こういうことができるのだから、いい時代なのかもしれない

これはcrossover projectだよ、両方のロゴを入れたい、という彼の言葉が
わたしには勿体なく、だけどやっぱり嬉しかった
夏を待つ理由が、ひとつできたかな

 

店はいま、なかなかの苦境にあるけれど
ささやかなあれこれを、一緒に楽しんでくれる人たちがいて、
それだけで救われている

淡々として、でもうねるような情緒がある気もする
わたしのささやかな時間

4年をかけて作ってきた、小さな店に
きょうも、なんでもない日があることを
ただ、ありがたく思っている