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毎日飲んでいる薬が、ついに底をつき
3月半ば以来の通院

無事に薬を受け取って
大通りとは反対の方向に、歩く
その病院がある辺りには、まだ、
ちらほらと昔からの田んぼが残っている

夏の稲が好きだ
青々として、風が吹くと波のようで


水の入った田んぼに寄っては、アメンボを捕まえていた、
そんな思い出が、ふとよぎる
わたしが育った地域も、当時は田んぼや畑が多かったのだ

忘れたいことが圧倒的に多い、子ども時代は
長年念じていたせいか、もう記憶が曖昧で
それでも、あちこちに寄っては花を摘み、昆虫を捕まえ、
歩きながら本を読んでいた帰り道だけは
とても、鮮やか


茶店の前を
後ろ髪を引かれに引かれながら、通り過ぎる
お客さんと接する仕事をしているわたしは、今でも、
持ち帰り以外では、飲食店へ行っていない

古本屋は寄ってもいいかしら、と半年ぶりに行ってみると
開いている時間のはずなのに、休みだった
ものすごく落胆して、
そんな自分に、ちょっと驚く

いつもの生活は、遠い
ずっと、遠いまま

 

実はきょうで、店を開けてちょうど三年
友人達や、内装をやってくれた家具職人さんが連絡をくれて
覚えていてくれたりするのだなあと、感激した

いまさら、という感じだけれど
この場所を見つけた日から、たくさんの人に出会って
ずっとエネルギーを切らすことなく、全力を傾けてやってきた
それ自体、結構すごいことだという気がする


わたしひとりが、綱渡りのような状態だと知っていた
直近では、今年の三月などもだけれど、
そういうことが、思い返せば何度もある
ここがまさに岐路なのだと口にしても、誰にも伝わらず
どんどん追い込まれていき、ただただ孤独だった

でも、たとえば東京にいた頃に働いていた店の状況だって
わたしは、ずいぶん余裕があると思っていたけれど、
経営者である上司は、綱渡りだと言っていた
今ならどういうことだったのかも、彼の気持ちも、よくわかるんだよ
わたしもわたしなりに、成長しているということか

わたしが、店が、いまここにあるのは
たまたま、可能なかぎりの手を打つことができて
賭けをした結果、たまたま、よい方に転んだから
そのことをちゃんと忘れずにいたい


全部を賭けるには、小さな店は不安定すぎるものだけれど
それでも、こうしてやっていく

三年間
わたしと一緒に、なんとか時間を越えてくれた店を
愛しく、大切に思っている