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予約のお客さんがいない時間、というのが
今週は、ある

ふたつの窓をいったん閉め、
給湯室のポットに水を足し、スイッチを入れ
シュー、という音を背にして、グリーティングカードを手に取る
うちには、誕生石と誕生花、そして星座のカードがあって
なんでもないことだけれど、月はじめには、
いちばん前に置くものを、そのときに合わせて替えることにしている

7月、8月、9月、10月
蟹座、獅子座、乙女座、天秤座
これからやってくる、季節


淹れたコーヒーを啜りながら
ティータオルのラインナップを見直し
発注する柄を決めて現物を並べ、写真を撮った
その作家さんはカタログを作っていて、品番も大体つけているけれど
そもそも、うちのために作ってもらっているものは載っていないし
柄名や番号で頼むと全然違うものが来たりするので、写真のほうが確実なのだ

レスターにある、彼女のアトリエへ行ったときには、
わたしより柄の名前を覚えてるのね、と、目をまるくされたっけ
たった一年とすこし前の話

あのときは、来年の春か夏にまた来るね、
ここでこれをいくつって言うのがいちばん早いから、なんて笑っていた
こうなるとは、さすがに夢にも思わなかったよ

日本にいても、注文はできるけれど
やっぱり、彼女に会いたいな

 

店の音楽ライブラリも
そういえば、夏に向けての変化などなかったなと思い立ち
ちょっと考えて、Call Me By Your Nameのサントラにある
Sufjan Stevensを2曲、足した
いかにも夏という曲を、趣味が偏っているわたしはほとんど知らない

 

 

店でかける音楽は、実はそれなりに注意深く選んでいて
映画で使われている曲は映像の印象が強いので、避けているけれど
儚い夏を思わせるこの曲は、特別

最近は営業中、窓を開けていたから
大通りに面しているここでは、音楽がぜんぜん聴こえなかった
窓を開けない贅沢というのも、あるんだね


ふわふわと、そんなことを考えていたら
作家さんから、すぐにメッセージが返ってきた
レスターも、イギリス全体もストレスがたまってる感じよ、
多分この国にはもっといいリーダーが必要、多分ね、という一文に
ウィンクの顔文字がいくつもついていて、笑う
いつものわたし達だ

さりげないやりとりを、何気ない瞬間を
焼きつける、毎日