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藤が終わり、花水木が終わり、
ついに、躑躅も終わりに近づいた

毎日、欠かさず短い散歩に出ているから
今年は、花を瞬間的にではなく、
ゆるく繋がった時間のなかで楽しめているような気がする

育ったまちの美しさを
ぼんやりと確かめる、春

 

5月15日に、日本にいるのは
なんと、2010年以来、10年ぶりのことだった
留学中は5月といえば試験期間だったし、
帰国後は、毎年外せない仕事のためロンドンにいたからだ

実は、その仕事の日程がズレていたので
今年はもともと、この日はここにいられるはずだった
毎年、葵祭に後ろ髪を引かれに引かれて旅立っていたから
本当に楽しみにしていたのに、
まさか、行列が中止になるとは思わなかったよ


来年の5月15日はどうしているだろう、とふと思って
頭に、心に、空白が広がる
想像もつかない、でも考えなくてはいけない、来年のこと

たった1年先が、果てしなく遠くに感じて怖い
その一方で、気がついたら来年になっていそうで怖い
わたしは後者のほうがより怖いかもしれないな

 

今週は、とある取引先とずっと話を詰めていて、
そして、大きな注文を入れることに決めた

この時期に、大胆といえば大胆だけれど
いまが厳しい取引先にとって、それなりの収入になるだろうし、
そもそも、多くのお客さんに愛してもらっている商品で、
在庫も全柄少なくなっているので、これでいい


その、小さなテキスタイルの会社を創業した女性は
若手デザイナーの発表の場を作ることを目指している
一緒に製品としてのテキスタイルを作り上げ、
販売したものには1メートル単位で、ロイヤリティを支払う仕組み
つねに賢くやさしく、話をすればするほど格好よくって、
あんな風にありたいと憧れる人のひとりだ

彼女の会社が長く続くよう、遠くから微力でも支えたい
こんな会社もあるのだと、お客さんに知ってほしい
そう、いつも思っている

それにしても、製作チームから
仕事は再開したものの、少人数で回しているので
納期はいつもより長い10週間、という連絡が来たけれど
はてさて、3ヶ月内に送ってくれるだろうか
届く頃には秋になってたらどうしよ

 

手のなかにあるものを、極力こぼさないように
今、ここで、のことに注力してきた
だけど今度は、躓かないように、数歩先を見るときだ

すこしだけ、想像を広げていく
なるべく遠い未来へ