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嵐が去って
それでもまだ、北風

手持ちのなかでいちばん明るいスカートに
この季節には厚い綿ニットを合わせ、外に出る
どこまでも広がっていくような光に誘われて
まっすぐ仕事場へ行かず、束の間の散歩


春の服をあまり着ないまま
気がついたら夏になっていそうで
こんなに非の打ちどころがない天気なのに、
また、暗く底の見えない不安のふちに立つ

仕事の電話がかかってきて
邪魔にならない場所へ移動し、マスクのまま出る
話し中、ふと空を見上げると
トンビが低いところを、スーッと円を描いて飛んでいた

変わらない美しさに、感じるのは
変わった世界と、沈んでいる自分

 

店を一時的に閉めても、
わたしのルーティーンには、実はそこまで変化がない
これまでお客さんと接していた時間が宙に浮いたけれど
そのほかの仕事は、減るどころか増えている

だけど、やっぱり
以前よりはすこし、空白がある
それが、いまのわたしは怖い
空白が日に日に膨張して、視界が真っ白になって
なにもかもを奪われる日が来るんじゃないかと、怖い


それを埋めるために、
ずっとなにかに集中することを選んでいるけれど
これが危ういことは、自分でもよくわかっている

それでも、未来の自分のために
せめて、もがいた痕以外に小さななにかを残せないものかと思うのは
そう悪い発想でもないと、どこかで信じてもいるのだな

 

いまは、気持ちが倒れないようにするのが精いっぱい
でも、徹底して考えれば考えるほど、冷静にもなって
いま打つ手をきちんと打てばおそらく大丈夫だとわかるので
外向きに発信している強い言葉も、嘘じゃない

不安に食べられてしまわないように
準備をして、対策をして、毎日を過ごす

まずは、一にも二にも、
身体を壊さないことだ