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今年は凍っていない湖と
変わらない、やさしい教会

一年を過ごした場所のそば
このあたりの町に来ると、振れていた心が
自分の真ん中に戻ってくる気がする


教会が湖のほとりにあるのは
冬になると凍った湖の上を歩いてこれるからだ、と
いつか、この小さな町で生まれ育った人に聞いたことがある

どうか、この話が
昔々の言い伝えのようになりませんように

 

ストックホルムの滞在中は
とにかく、喋っている時間が長かった

いつからか、普段日本にいるときも
こまかなメッセージを送り合う相手が増えた
こうして会えるときには、最初と最後に、
握手ではなくハグを求めてもらえるようになった

お客さんには、見えなくてもいい部分で
でも、わたしにはうれしく、そして大切にしたいこと

そうそう、イラストレーターさんの猫が
甘えてくれるようになったのも、うれしいな
最初は、呼んでも呼んでも出てきてくれなかったから


こうして、あちこちでじっくりと話をすると
大事に思うものは、自分だけで愛でたほうがいい
簡単に得られない知識は、喋らないほうがいい
そういう閉じた気持ちが、すこし救われる

大切にしているからこそ見てほしいという考えかたは
もう、自分を傷つけ、首を絞めるだけなのだな、と
鈍感なわたしも、いよいよ悟ったけれど
すくなくとも、仕事では
わたしはまだ、伝えることを諦めずにいたいのだ

 

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明日には、いよいよ帰路に着くので
今夜は、荷物を倒すかわたしが倒れるかの梱包作業

今回はイギリスから大きな箱を出し、
さらに今朝、ここからも荷物を送ったけれど
それでも、手で持って帰るものの梱包だけで
休むことなく、たっぷり4時間かかった


包んだものや買ったものを、
ふたつのスーツケースにパズルの如く詰め
最後に、椅子の背にかけっぱなしだった服を畳む

ピアスやリングも、ジュエリーロールに仕舞うと
ああ、本当に旅が終わるのだなと思う


デンマークスウェーデンでは
夜も、移動中も、仕事をしていた
だからいつも眠かったけれど、
なんとかここまで来たという充実感はある

煩雑なあれこれは、ひとまず忘れよう
あとは、ひとつひとつのものに、
どうか愛してくれる方が現れるようにと
祈りつつ、遠い京都へ帰るだけ