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最近知った、すこしだけ遠くのパン屋さんで
パンと、おやつと、なつかしいカフェオレを買い
つかの間のお花見

ルノアールの絵のような空を
鳶がすうっと飛んでいる
とっくに桜も咲いているのに、変だけれど
ようやく、いよいよ春だ、という気がする

落ちていた八重桜の花を
拾いあげ、つまんだまま歩いた
なんでもない、美しい昼さがり

 

真新しい糸玉から、糸を引きだし
テレビ番組のクイズに答えながら、ゆるゆる作り目
デンマークの白いコットン糸は
半袖のカーディガンになる予定だ

これが編み上がるころには
春は、とうに終わっているだろう
そう思うと、すこしだけ焦りもするけれど
時間の流れとともに、出来上がっていくものがあることに
安堵も、覚える

いま、編み物は、わたしにとって
流れる時間を、自分のなかでほんのすこし形にする、
もっと言うと、時間を時間ではない形にする、
そういう手段のひとつなのだと、思う


“すべてが狂気であると考えれば、
時間ははっきりと確認できる唯一の概念だと思います。
時間も空間も知覚の概念ですが、
時間のほうが知覚できる概念だと思っています。”
サガンの言葉を、ふと、思いだす

わたしは、いつになったら
時間という概念に、抗わずにいられるようになるのだろう

 

ともあれ、呼吸をととのえて
静かに、明日へ

あと2週間もしないうちに
わたしにも、ゴールデンウィークがやってくる