恋人がインフルエンザにかかり
連休の予定が木っ端微塵

房総半島、館山へ
出かけていくはずだった
どうしようもないと、わかっていても
ひとり、どうしようもなく、気持ちが塞いだ

けれど
どうしようもないものねえ、と
心の波をくぐったり、かぶったり



とはいえ、わたしも
元日からずっと、微熱が下がらないままだ
37℃台前半の日もあれば、後半の日もあり
ほかは何ともないんだけれど、とにかく身体が重い

どうせならゆっくり過ごして治そう、と思うものの
ベッドにいると気分が沈むので
重たい身体を起こして、散歩へでかける


いつもより透き通った水の表面を
かすかに引っ張って、泳ぐ鴨
ちらちらと瞬く光、薄水色の空と白い月

育ったこの町に帰ってきて、よかったと思うのは
たぶん、こういうとき




まだ、戻りたくなくて
遠まわりの最中
イヤホンから流れるNouvelle Vagueが
おだやかな風景に絡まっていく

Give me the words
Give me the words
That tell me nothing

Give me the words
Give me the words
That tell me everything



結局、カフェに寄ることにして
そとの冷たく爽やかな空気を、ふんわり纏ったまま
コーヒーを飲みつつ、作業

膨大な量の仕事も
こんな日には、救いだ


明日には
きっと、すこしはよくなる
よい一日を、きっとつくろう、と思う

だから、きょうは
もうすこしだけ、遠まわり