引っ越し前日
忙しい、とても忙しい、土曜


最近、とくに土曜は
たくさんの方が来てくださって、たくさんのものが旅立っていく
きょうはいっときは、この小さな店に7組の方がいらっしゃって
歩くのも難しくなり、ありがたい半分、申し訳ない半分

そんななかで、うまく時間が合って
何度も来てくださっているお客さんと、お話できたりすると
ちょっと力が抜けて、ほっとする
きょうは、すてきな女性とゲーテの話ができたりして、
それだけでいい日だった


わたしは、実はお話することがにがてで
どうしても緊張してしまって、
あとから、ああ、こういう風に話せばよかったな、とか思ったり
気をとられて値札など剥がし忘れたり(大変よくない)してしまうのだけど
それでも、優しい方もたくさんいらっしゃって、
帰りがけ、ドアを開けながら、あたたかい言葉をかけてくれたりする

お客さんとの関係、というのが
店をはじめる前は、正直よくわからなかったけれど
こうして出来上がっていくものも、あるのですね



きょうは、姪の誕生日でもあったので
仕事の時間まで、ちょっとパーティーに顔を出してきた
一歳、つまり、あれから一年だ

去年のきょうは、ちょうど、恋人も京都に来ていて
わたしの仕事終わりに、一緒にタイ料理を食べ、
その後、妹と生まれたばかりの姪に、会いに行った
すでに姪が四人いる彼は、赤子を見て
もう首がすわりそうなくらい大きいと、ほのぼのと笑っていた

こんな風にして、ゆるやかに、
わたしと恋人も、わたしと家族も
新しい関係になっていくのかな、と
ぼんやり思ったことを、覚えている


そんなことを考えて、ちょっとしんみりしていたものの
祝われる当人は、とにかく今、箱とブロックにご執心で
わたしにひとつひとつブロックを渡しては、
ひとつひとつ回収して箱に入れる、という作業を飽きずに繰り返していた
あとみっつ、ふたつ、ひとつ、ほら、もうないねん、と
こちらも飽きずに付き合いながら、
すでに、ずいぶん大きくなったものだなあ、と思う

わたしは、彼女の親でもなく友達でもないけれど
ほかのだれでもない、わたしとして、
姪に、いつか、きらきらした世界を見せたいな
この一年のうちに、そんな風に思うようになった


ともあれ
誕生日おめでとう

彼女に、たくさんの幸せが、
そして、彼女をとりまく皆にも、たくさんの幸せがある一年になることを
ほんとうに祈っている