きのういただいた、花束
きちんと愛でたいので、
いったん、自宅に持ち帰ってきた


彼にあげる予定のスヌードの
縦の三色の部分を編みあげ、端と端をつなぐ
永遠に終わらなそうな糸始末をしながら、
これから拾うことになっている208目を憂う

懐中電灯を用意し
流しにある食器を洗って
お風呂にお湯をためる
ラップトップに向かい、
明日が〆切の仕事を、急いで上げて送ってしまう

台風を迎え撃つ
不気味なほど静かな、午後




スピーカーからは、The Pierces
こんな日にぴったりだ


The Piercesは、ロンドンにいた頃
ポーランド出身の友人に教えてもらった
当時は、出たばかりだったYou&Iをずいぶん聴いたけれど
今は、その前に出ていた、
Thirteen Tales of Love and Revengeのほうをよく聴いている

コンセプト・アルバムといった感じで
曲調はさまざまながら、どこか心もとないメロディーが多く、
不確かなもののなかをぐるぐる迷っているようで、いい


ふと、雪の風景が過るのは
2013年にポーランドを旅したとき、
友人を思い出して、これを聴いていたから

グダニスクからトルン、ワルシャワ、そしてクラクフ
電車で移動しつづけた
東欧らしいコンパートメント
窓のそとは4月なのに大雪で
いま思えば、現実離れした旅だった


音楽に絡みついた記憶は
いつだって、鮮やか

ざわつく気持ちを、台風のせいにして
音楽にまかせて、眠る