母が、きのう
『ミセス』の梨木香歩さんの連載に、
イギリスの鳥図鑑の話が出ているわよ、と、教えてくれた

『遠くにかがやく 近くでささやく』という
その連載の、最終回
『物語がいっぱい』という題の、二頁の短いエッセイは
たしかに、ちいさな図鑑の話だった


ロンドンからほど近い、小さな町の
Oxfamという、どの町にもあるようなセカンドハンドの店で
彼女は、それを買ったという
手のひらサイズの本に、生き生きと鳥が描かれている様子、
それを捲る愉しさが、伝わってくる文章

話のなかの図鑑について
梨木さんは、Observer's Booksの一冊と書いていて
シリーズについて、簡単な説明もしている
そのことが、妙にうれしかったのは、
わたしも、このシリーズを愛するひとりだからだ

そして、わたしがObserver's Booksに出会ったのも、
ほかでもない、Oxfamだった


海辺の町ブライトンの、本専門のOxfamで
わたしが買ったのは、Sea and seashoreという、海の図鑑
かなりざっくりしたものではあるけれど、
やはり、挿絵が生き生きとしていて
開けるたびに、新しい発見がある本だ

遊びごころがあって美しく、過不足も気取りもない、
手のなかに収まる、図鑑
こういうものは、ありそうで、なかなか見つからない

いち読者にすぎないわたしだけれど、
これが好きだという気持ちを、分け合えたようで
なんだか、くすぐったい気持ちになった


彼女が持っているものは
おそらくこのシリーズの一冊目の、British Birdsだろう
1937年の刊行なので、62年刊行のSea and seashoreとは
またすこし、雰囲気が違うのかもしれない

いつか、どこかで
その鳥の図鑑にも出会ってみたいな

案外、むつかしそうな願いだけれど
叶う日が、来るといい