山のような課題を片づけるべく
また、21時まで、作業

友だちと、大学のほうが忙しくないくらいだよねえ、と
言い合って、笑う

ともあれ、今週の授業は、明日でお終いだ



今日から、よく一緒に作業をしている
もうひとりの友だちが、学校に帰ってきた

彼は、洋裁と織りのコース、あわせて18人ほどのうち
唯一の、男の人


先週の金曜から、彼は学校を休んでいた
とくに週末会う約束もしていなかったので、
そのときは、体調が悪いのかな、と思っていた

けれど、月曜になっても、火曜になっても、彼は来なかった
授業はもちろん、食事にも姿を見せない
どうしたんだろう、といよいよ心配していた水曜日、
校長が来て、彼が学校に戻ろうとしているから気にかけてあげて、と言った


最初は、言葉を発することが、ほとんどない人なのだと思っていた
今は、誰とでも普通に話はするけれど
たとえば授業中にしっかりした声で喋ることは少なくて
ほとんど笑わない

だけど、一ヶ月のあいだに
力の抜けているときは、茶目っ気を含んだ笑顔を見せるし、
実はとても、よく喋る人だとわかった
そして、自惚れかもしれないけれど、彼がそんな風に接する相手は
おそらく、この学校ではそれほど多くはないはずなのだ

どうして、気がつかなかったんだろう、と思う
この生活が、彼にとって辛いものかもしれない、ということくらい
容易に、想像がついたはずだ


だからって、何かができたわけでもないし
これから何ができるわけでもないだろうけれど
わたしも、全力でやらないと、何か作らないと、前向きにいかないと、って
ちょっと必死になっていたかもしれない
体力的にも精神的にも、しんどいこともあるこの学校で
彼を追い詰めるような空気の一端を担ってしまったかもしれない

スピードを、すこし緩めたほうがいいのかも
わたしだって、無理をしていないと言えば、嘘になる


わたしが、彼らのことをそう思っているみたいに
この人たちとなら居残りの時間も愉しく過ごせるな、と
そう思ってもらえたら、嬉しいんだけれど

と、悶々

お腹の底から絞り出して、お帰り、と声をかけた
とにかく、戻ってきてくれて、よかったよ


どうか、早く
この学校が彼にとって、過ごしやすい場所になりますように